初・中級者向け? フルサス MTB リア サスペンション セッティング 【保存版】
今回はMTBフルサスペンションバイクに装備されているリアサスペンションのセッティングについて紹介したいと思います。
今回もほぼ初心者向け?となりますので、中、上級者の方には物足りない内容になるかと思いますが、初心者の方にサスペンションの調整に興味を持っていただきたいため、よろしくお願いします。
リアサスペンションのセッティングは、フロントサスペンションとのバランスも重要になりますので、以前の記事 ”初心者向け? MTB リア サスペンション セッティング 【保存版】” も参考にして頂ければと思います。
リアサスペンションに使われているユニットは、フロントサスペンション同様にエアースプリングタイプとコイルスプリングタイプに大別されます。
特徴としては
コイルユニット
・重量が重い。
・体重が合わないとコイルスプリングを自分の体重に合ったものと交換が必要。
・動きがリニアで路面追従性が良い。
エアーユニット
・重量が軽い。
・エアー圧調整で細かく調整できる。
・コイルユニットに比べて動き出しの反応がやや鈍く、作動感がやや淡白。
現在は年々改善されており、高級モデル程、この両者のメリット、デメリットは払拭されつつありますが、廉価版ユニットはまだまだこんなイメージですね。
基本的なサスペンション調整の手順は、フロントサスペンションと同様ですが、注意が必要な点がいくつかあります。
フロントサスペンションの場合、フォークのストローク量=サスペンションストロークなのですが、リアサスペンションの場合殆どのフレームでリンク比が生じます。
直押しのモノもありますが、大抵はリンクプレートが仲介してリアユニットを作動するようになっています。
リンク比は2:1~3:1くらいが多いかと思います。
例えば、150mm(約6インチ)ストロークのサスペンション設計でリアユニットのスッとローク量が50mm(約2インチ)であれば、リンク比は3:1となります。
フロントに比べて、リアユニットは50mmの作動量の中で150mmストロークの処理を行わなければならないため、サスペンションユニットにとってはある意味フロント以上に負担の多い部分でもあります。
それに加えて、フレームのサスペンション形式も様々で、昔からあるシングルピボット形式から、最近復活してきたホルストリンク、VPP、マエストロ、DWリンクなど、マルチリンクと呼ばれる、リンクを介してサスペンションの軌跡をコントロールし、ペダリングロスをなくすといった、複雑なシステム多くなっています。
これは、サスペンションユニットの性質だけでなく、フレーム自体のサスペンション設計によってもある程度バイクの動きの性格付けがされているということです。
そのため、サグ出しは必ずフレームメーカーの推奨値でセッティングしましょう。
その上で、好みに調整していくのはアリだと思います。
一般的にはサグは20%前後。
下り志向が強く、ストローク量が大きいフレームではサグが多めになります。
※一例としてGIANTのマエストロは推奨サグ値は25%~30%となっています。
サグが少ないと、ペダリングロスが少なくなりそうな気がしますが、マルチリンクの場合きちんといいところに収まっていないと、サスペンションの美味しいところが生かせなくなって結果的にサスシステムのメリットが十分に得られなくなってしまいます。
【調整箇所】
①プリロード
コイルスプリング式のフォークの場合、フロント同様プリロードダイヤルを絞めこむことで、初期のスプリングの動き出しを調整します。
リアの場合はコイルスプリングを固定しているプレート部分を回転して調整になります。
大体1回転で1mmスプリングを縮めます。
絞めこむと初期の動き出しの反発が強くなるため、反応が良くなりますがスプリングが硬くなるわけではないので、2~3回転ほどでサグが出なければ自分の体重にあったスプリングに交換が必要になります。
※良くプリロードをたくさんかけて、硬くなったから大丈夫!っていわれる方がいらっしゃいますが、初期の動き出しが硬くなっただけで、スプリングレートは変わっていないので初期の硬さから後の動きは元のスプリングのままです。
プリロードかけた分だけスプリングのストローク量は短くなっており、底突きもしやすくなっているので、体重に合っていないスプリングで無理なプリロードでの使用はお勧めしません。
②スプリング
コイルスプリング仕様の場合、サグを測定して自分の体重に合っていなければ交換が必要になります。
大体体重70kg前後を想定したものが標準で装着されています。
必要に応じて、50ポンド単位でスプリングが用意されているので交換します。
メーカー、フォークによって用意されているものは変わります。
③エアー圧
コイルスプリングの代わりにエアー圧力でスプリングの役割をします。
エアースプリング仕様の場合、コイルスプリングの代わりにエアー圧力でスプリングの役割をします。
ユニットによっても推奨エアー圧は変わるので、ユニット&フレームのマニュアル等参考にして希望のサグ値になるよう、エアーサス専用ポンプでエアー圧を調整します。
コイルスプリングと違って、エアーだけで幅広く調整できるのが魅力です。
長期間使用で自然にエアー圧は下がってくるので時々確認が必要です。
④リバウンド
サスペンションが衝撃を受け、沈み込んだ後、戻る速度を調整します。
早すぎるとサスペンションの反応は良くなりますが、トレイルなどダート走行では落ち着かずギャップで跳ねやすくなります。
遅すぎるとフォークの動きが重く感じ、連続する衝撃にサスペンションの動きが追い付かず、短いストロークのフォークで処理しているよう硬く感じます。
ユニットによってダイヤルが最弱から最強までが20クリック位有ったり、クリック感が無くダイヤル可動域が90度位のものなどまちまちです。
分からないときは、リバウンド解放から全調整幅の1/3~1/4ほどかけて乗ってみてから調整を始めてみてください。
他の調整もそうですが、1クリックずつとか変えても中々体感できません。
ふり幅を大きく変えてその間を取っていく方がわかりやすく調整できます。
最近は、高級機種だとリバウンドも高速側、低速側別々に調整できるものもありますが、今回は複雑になるので解説しません。
イメージ的には、高速側は強い突き上げやフルストロークなど、ユニットが速い速度で作動した時の戻る速度の調整です。
低速側はペダリングなどのゆっくりした動きでサスペンションが沈み込む動作の際の戻る速度の調整です。
⑤コンプレッション
こちらはコイルスプリングやエアースプリングが衝撃を受けるときに、オイルダンパーでスプリングの手助けをする機能の調整です。
強くかけると、同じエアー圧でもサスペンションが硬く感じます。(正確には、減衰が強くかかり縮む速度が遅くなるので硬く感じる。)
弱いと、反応良く動きやすいが、ふわふわ落着きがなく感じます。
コンプレッション調整が付いていないユニットもありますが、最近のユニットはある程度使用想定されるコンプレッションにプリセット設定されているので問題ありません。
短いストロークのフレームでコンプレッションかける場面としては、普段トレイル用のセッティングで、比較的フラットなコースやパンプトラックのようなプッシュが必要な場面。
プッシュが入れやすくなったり、ペダリングのボビングの影響を受けにくくなります。
長めのストロークのフレーム場合、サグを多めにとると、浮わ付き多くなりますが、コンプレッションをかけると沈み込みの速度が遅くなり安定するため、バイク自体も安定して乗りやすくなります。
かけすぎると、突き上げを感じるようになったりするのでほどほどに。
コンプレッション調整は、まず適正なサグが出ていることが前提なので、コンプレッションかけなくても乗って不満が無ければ、いじらなくても良いと思います。
コンプレッション調整も、高級機種だと、高速側、低速側別々に調整できるものもありますが、今回は複雑になるので解説しません。
イメージ的には、高速側は強い突き上げやフルストロークなど、ユニットが速い速度で作動した時の減衰速度の調整です。
低速側はペダリングなどのゆっくりした動きでサスペンションが沈み込む動作の際の減衰速度の調整です。
【リアサスペンション調整の手順】
①体重、使用にあったサグになるようエアー圧やプリロードを調整する。
トレイルやオールマウンテンバイクならサグ20~25%前後から始める。
※フレームに推奨サグがある場合はまず推奨サグから調整を始める。
②リバウンド調整。
リバウンド調整域の1/3~1/4位から始める。
③コンプレッション調整。(調整機能があるユニットのみ)
まずはコンプレッションかけずに乗ってみる。
浮わ付きボビング(ペダリングによる沈み込み)が気になるようなら少しづつかけてみる。
適正サグでも路面のギャップで突っ張ったり、硬く感じるようなら弱める。
以上、まず適正サグが出ている上でリバウンド調整。
これだけで、十分気持ちよく乗れます。
その上で必要に応じてコンプレッション調整する感じです。
コンプレッション調整はスプリングの動きを制限する機能なので、先にコンプレッションいじったりすると、何が基準かわからなくなってしまいます。
【フロントサスペンションとのバランス調整】
・調整は必ずフロントとリアは別々に行います(同時に変更するとどちらが原因かわからなくなるため。)
・サグはフロントと同じかリアが多めにするとバランスが良く、リアが多い方が安定感は良くなります。(半面反応は悪くなります。)
・リバウンドもリアが多めの方が安定します。(多すぎると戻りが追い付かず乗り心地が硬く感じますが、それでもリバウンド速すぎてリアが弾かれるよりも車体姿勢は乱れにくくなり安全性は上です。)
以上が、ある程度バイク任せでも乗り心地良く且つ安定性も良くなるセッティングとなります。
慣れてくれば常用速度域も上がり、リバウンド速めにしてコンプレッションかけめで、バイクを振り回した方が楽しいって思うかもしれませんが、最初は楽しく乗れる、極力恐怖感を持たないセッティングで馴れる事、楽しむことを優先したほうが良いと思います。
馴れにかかる時間は個人差もありますし、最終的なライディングスタイルも人それぞれなので、他の人と全く同じセッティングと言う事はまずありません。
自分が楽しく乗れるセッティングを色々試してみましょう~。(#^.^#)
私は最近フルサス乗ってませんが、Slopestyleバイクはコンプレッションかけてハードテイルっぽく、オールマウンテンバイクはサグ25パーセントくらいで乗ってました。
マルチリンクサスは、サグ多めでもリンクの働きで1G’付近のボビングが抑えられているものが多いので軽い走行感と安定感が両立されているものが多いようですよ。